1. 相続人と法定相続分

(  )内が法定相続分です。

@ 配偶者は常に相続人になります。

A 子がいる場合、子(1/2)と配偶者(1/2)が相続人になります。子が複数いるばあいは、1/2の相続分を均等に分けます。被相続人(亡くなられた方)の死亡前に子が亡くなっている場合、子に子(被相続人の孫)がいれば、子の子が代襲相続人となります。

B 子がいない場合、配偶者(2/3)と直系尊属(1/3)が相続人になります。

C 直系尊属がいない場合、配偶者(3/4)と兄弟姉妹(1/4)が相続人になります。被相続人の死亡前に兄弟姉妹が亡くなっている場合、その兄弟姉妹に子がある場合は、その子が代襲相続人になります。

 

遺言をしておけばよかった事例

以前にあった事例ですが、高齢だった被相続人には子がなく、高齢の配偶者と多数の兄弟姉妹が相続人(両親は大分前に死亡)でした。その多数の兄弟姉妹のほとんどが被相続人の死亡前に亡くなっており、兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)が代襲相続人となり、さらにその代襲相続人(甥・姪)が被相続人の死亡後、亡くなっている人がありました。そうすると、代襲相続人(甥・姪)の相続人(配偶者・子)がさらに相続人となり、20数名の相続人により、遺産分割協議をしたことがありました。

このような場合、相続人のうち、1人でも協議に同意しないと、協議が成り立たなくなってしまいますし、居所のわからない人がいれば、不在者の財産管理人の選任の申立てなどを家庭裁判所にしなければなりません。

被相続人の生前、遺言(下記)をして、「私の遺産の全ては、妻である(住所)(氏名)に相続させる。」としておけば、そのようなトラブルは防ぐことができます。

2. 遺産分割協議

(1)   遺言書がある場合
遺言書で、「甲不動産はAに相続させる。」と、遺産分割方法まで指定されている場合は遺産分割協議は不要ですが、「遺産の1/3はAに相続させる。」という遺言の場合、個々の遺産(土地、建物、預金他)を遺言書で定められた割り合いにしたがって相続人間でどう分割するかを決めるのが、遺産分割協議です。

(2)   遺言書がない場合
法定相続分に従って、個々の遺産を相続人間でどう分割するかを決めます。
また、法定相続分以外の比率で分割することもできます。「甲不動産は、Aが相続する。乙銀行の預金は、Bが相続する。」

遺産分割協議が相続人間でまとまらない場合は、各不動産を法定相続分に従った比率で、共有で登記することができます。また、遺産分割を求める調停を家庭裁判所に起こすこともできます。
未成年者が相続人である場合、法定代理人が代わって遺産分割協議をすることになりますが、法定代理人も相続人である場合、利益相反行為となりますので、家庭裁判所に特別代理人選任の申立てをして、特別代理人が未成年者の代理人として、遺産分割協議をすることができます。

 

当事務所では、ご相続人間で遺産分割協議がまとまった場合、その協議結果に従って、遺産分割協議書を作成いたします。

3. 遺言書

遺言書には、普通の方式(危急時遺言を除く)として、以下の3通りの方法

があります。

@ 自筆遺言証書
遺言者自身が日付、氏名、住所を含めて全文を自筆で記載する。ワープロ、パソコン等で印刷したものは使用できません。これは、筆跡で本人が書いたものか否か確認するためです。

A  秘密証書遺言
遺言者自身が証書に署名・捺印し、封筒に入れて封印し、公証人及び2人以上の証人の前で、「自分の遺言書である。」旨と氏名・住所を述べる。そうすると、公証人が日付と遺言者が述べたことを封筒に記載し、公証人、遺言者、証人が署名・捺印する。

B 公正証書遺言
証人2人以上(推定相続人は証人になれない)立ち会いのもと、遺言者が公証人に遺言の趣旨を述べ、公証人がそれを書類の形にまとめ、それを遺言者と証人が確認し、遺言者、証人、公証人が署名・捺印する。

この中で、B公正証書遺言が最も安全・確実な方法と言えます。自筆遺言証書・秘密遺言証書では、遺言者の死亡後、開封前に家庭裁判所へ持って行って検認(本当に遺言者本人が作成したものか否かを確認する)を受けなければなりませんし、法律で決められた方式に従わないと、無効になってしまうこともあります。

 

当事務所では、公正証書遺言の作成につき、公証人への依頼などの手配もさせていただきますし、自筆遺言証書及び秘密遺言証書の検認の申立書の作成もさせていただきます。

4.相続放棄

 相続とは、被相続人(亡くなった人)の財産も負債(借金などの支払義務)も共に引き継ぐことです。何もしなければプラスの財産とマイナスの財産を共に相続したことになります。プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合など、相続したくない場合は、被相続人の死亡日もしくは相続財産のあることがわかったとき(負債のあることが判明したときなど)から3ヶ月以内に家庭裁判所へ相続放棄の申述書を提出しなければなりません。この3ヶ月の期間は、家庭裁判所へ申し立てることによって延長してもらうことはできます。

 相続放棄申述書には、自身が被相続人の相続人であることを証明するために、被相続人と相続人の戸籍謄本を添付する必要があります。また、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述書を提出しなければなりませんので、被相続人の最後の住所地が記載された住民票の除票(本籍地の記載が入ったもの)もしくは戸籍の附票が必要です。相続放棄の手続は、申述書を提出するだけで、あとは裁判所内の書類審査だけですので、難しい手続ではありません。相続放棄申述書は、当事務所で作成することができます。

 プラスの財産の方が多いのか、それともマイナスの財産の方が多いのか、微妙な場合は、限定承認という手続があります。これは、プラスの財産を限度に相続するということです。マイナスの財産の方が多い場合は、プラスの財産を各債権者に配当して、残った負債は相続しなくてよいという手続です。

5. 遺産承継業務

相続した預金、株式などの相続人への名義変更の手続きを代行いたします。当事務所で用意する委任状にご署名・ご捺印(実印)いただき、印鑑証明書を付けていただければ、金融機関や証券会社にて名義変更の手続きを相続人に代わって行います。

6. 相続法制の改正

相続法制が約40年ぶりに見直され、大きな改正が加わりました。まだ施行されていない改正法ですが、順次お知らせしていきます。2019年1月13日に施行されるのは、自筆証書遺言の方式緩和です。

これまで自筆遺言は、全文遺言者が自筆で書かなければならず、一部でもパソコン等で作ったものを使用することはできませんでしたが、改正法から財産目録をパソコン等で作成して、添付することも許されるようになります。

また、法務局で自筆遺言証書を預かる保管制度も東京オリンピック開催までには開始されます。

7. 法定相続情報証明制度

 法務局が提供する新しいサービスが2018年度から始まりました。

 金融機関などで預金等の相続手続をする際に、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と相続人の戸籍謄本の厚い束を提出しなければなりませんでしたが、今後は、相続による所有権移転の登記を法務局に申請する際に、戸籍謄本に法定相続情報一覧図(相続関係図のようなもの)を添付して、法定相続情報証明の申し出をすれば、法務局が「法定相続情報一覧図」の写し(登記官の認証入り)を発行してくれます。この法定相続情報一覧図の写しを金融機関に提出すれば、厚い戸籍謄本の束を提出しなくても、預金の相続等の手続ができます。ただし遺産分割協議書等の書類は別途必要になります。税務署での相続税の申告にも使用できます。

 不動産登記の申請をしなくても、法定相続情報証明の申し出だけを法務局(被相続人の本籍地、最後の住所地、申出人の住所地)にすることもできます。

 法定相続情報一覧図には、相続放棄の情報は記載されません。相続人の中に相続放棄をした人がいる場合は、別途相続放棄申述受理証明書が必要になります。

 この法定相続情報証明の申し出は、司法書士が代理人として申請できますので、必要な場合は、お申し出ください。

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