多重債務の負担に苦しんでいる方のために

自分の支払能力を超えた債務(借金、買掛金、他人の連帯保証をした場合など)を負っている方のために、法律でさまざまな手続が定められています。簡易裁判所の訴訟代理の資格のある司法書士が、金融業者に「債務整理」を受任したという、「受任通知」を送付すれば、その日から金融業者は債務者に直接請求・取立てをすることができなくなります(金融庁事務ガイドライン)。

1. 任意整理

司法書士が金融業者と、裁判所外で話し合いをして、支払可能な弁済計画(分割払い)について合意をして、和解契約書を作ります。貸出金利が利息制限法の上限金利を超えている場合は、利息制限法の上限金利を上回った利息の支払を元本に充当させる計算を行います。そうすれば、債務額が金融業者が請求している金額よりも大分少なくなるケースが多くあります。

 

金融業者の中には、法定金利を超えた利息を請求してくる業者もあります。法定金利を超えて支払った分は、元本に充当されます。つまり、それだけ元本を返済したことになります。そうして元本の返済が終わったのに気付かずに支払い続けると、支払い過ぎ(過払い)になることがあります。過払いになった場合は、業者が不当利得を得たことになり、返してもらうことができます。過払い金返還請求訴訟も、140万円以内の事件につきましては、当事務所の司法書士が代理人として訴訟を行うことができます。

2. 特定調停

上記の任意整理と同じようなことをご自分で(専門家に依頼せずに)簡易裁判所を通じて行うのが、特定調停です。簡易裁判所で調停委員をはさんで債権者と交渉して、債務額を利息制限法の上限金利で引き直し計算をして減額し、原則3年間の分割返済の合意をする手続です。あらかじめ債権者の納得が得られそうな返済計画書を作成しておかなければなりません。ただし、この特定調停の手続では、過払金の返還を受けることはできません。

3. 個人再生

任意整理または特定調停の3〜5年間の分割でも返済が難しい人には、個人再生という方法が用意されています。これは、裁判所に申し立てをして、返済総額を大幅にカットしてもらう方法です。住宅ローンの返済がまだ大分残っているけれども、自宅を失いたくないという人も、この方法を使えば、自宅を売却されずに債務整理をすることができます。

 

この手続は、地方裁判所に申立書を提出して、書面で手続を進めます。司法書士は申立代理人にはなれませんが、書類を作成することはできます。添付資料が多く要求され、複雑で難しい手続ですので、収入や資産の状況に関する資料をそろえてご相談ください。

4. 破産

個人再生でも返済は無理で、自分の財産を全部処分しても、債務の返済ができない場合は、債務者本人もしくは債権者の申し立てにより、裁判所により破産手続開始決定がなされます。
破産手続開始決定後は、裁判所の手続により債務者の財産(不動産、有価証券、高価な動産等)が売却され、債権者に公平に配当されます。特に売却するほどの財産がない場合(生活に必要な家財道具などは売却されません。ある程度以上の預金、有価証券、退職金見込額などがあると、破産管財人がついて、配当が行われることがあります。)は、「同時廃止」といって、破産の手続が破産手続開始決定と同時に終了します。浪費や詐欺破産(返済できないのを承知で借金をした)などの場合を除いて、その後「免責」を受ければ、その後債務の負担はなくなります。但し、一度免責を受けると、その後7年間は破産しても免責を受けられません。そのようなことを承知で貸付けを申し出るヤミ金融業者もありますので、決して手を出してはなりません。

【破産した場合の不利益】

以下の職業に就けなくなります(例)。(在職中の場合は、退任となります。免責により復権すれば、就任できます。)

会社の取締役・監査役

宅地建物取引主任者、不動産業者、建築業者

生命保険外交員、損害保険代理店、証券会社の外務員、警備業者、警備員

古物商、風俗営業者、質屋

弁護士、税理士、司法書士、行政書士、公証人

成年・未成年後見人、保佐人、補助人、後見監督人、遺言執行者

会社の一般の従業員・一般の公務員は、破産しても不利益はありません。勤務先に通知されることはありません。選挙権が剥奪されることもありません。但し、官報に公告されますので、金融業者には知られることになります。クレジットカードへの新規加入はできなくなり、一般の消費者金融も利用できなくなります。そこで、破産した人をターゲットにして貸し付ける悪質なヤミ金融業者から勧誘がありますので、そのような業者には決して手を出さないで下さい。

破産の手続きは、地方裁判所の管轄なので、司法書士は破産申立書を作成して、ご本人に裁判所へ提出していただきます。

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