高校の中庭にて
ヨシオ:「ハナマル先生、教育委員会から戒告処分を受けたんだって?」
ツネオ:「卒業式の国歌斉唱のときに、起立しなかったからかな。」
ヨシオ:「日頃から、『他人のいうことを鵜呑み(うのみ)にしないで、自分の頭でよく考えてから判断するように。』とよく言われていたからね。授業中でも、テーマを与えられて、考えてから発表させられることが多かったね。卒業式で身をもって実践されたのだろうか。」
ツネオ:「でも、これでハナマル先生、出世できなくなるね。でも、出世と引き換えにするほどのことなのかな?」
ヨシオ:「君が代は、日本の古代からある歌だけれど、明治時代に『君』に君主としての天皇の意味を込めて、国歌のように使ってきたから、『君主としての天皇を讃(たた)える歌』というイメージが強かったので、国民主権になった戦後、君が代に抵抗を覚える人が多いわけだけど、ハナマル先生もきっと抵抗があったんだろうな。」
ツネオ:「でも、国旗・国家法で『君が代は国歌』と決められているし、学習指導要領にも『入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。』と規定されているんだろ?法律は守らなければならないんじゃないの?」
ヨシオ:「でも、一方では、憲法で『思想・良心の自由』が保障されているから、法律をもってしても、思想・良心の自由を侵害することはできないだろ?」
ツネオ:「ここは、県立高校だし、先生は公務員だから、公務員には基本的人権はフルには保障されていないんじゃないの?公務員は公共のための仕事をしているんだから、自分の思想・良心は抑えるべきじゃないか?」
ヨシオ:「公務員といっても、外国に対して我が国を代表する内閣総理大臣や、行政上の処分権限を握っている大臣、都道府県知事、市町村長やその下の幹部公務員に比べて、学校の先生のやっていることといえば、行政処分などの権力行為ではなくて、私立高校や予備校、学習塾の先生などが行っているのと同様の勉強の指導なのだから、権力業務を行っている公務員と一緒には考えられないんじゃないか?公務員だからといって、一律に人権を制限していいことにはならないだろ?」
ツネオ:「学校という組織に属している以上、一定の制約は受けるんじゃないのかな。特に卒業式という厳粛(げんしゅく)な儀式の場には、卒業生の父母も出席しているし、儀式を厳粛に実施するためには、校長の職務命令に従わなければならない。起立しさえすればよかったんだよ。」
ヨシオ:「起立するだけでよかったというけれども、先生の立場に立てば、起立するだけなら簡単だったと思うよ。ほとんどの人が起立している場で、自分だけが起立しないというのは、相当な勇気と覚悟がなければできないよね。起立しなければ処分されることもわかっていたわけだから、自分の出世と引き換えにしても、僕たちに『自分の頭でよく考えて判断しなさい。』というメッセージを身をもって伝えたかったんじゃないかな。」
ツネオ:「今は、この程度でも『思想・良心の自由の侵害』ってことで裁判になったりするけれど、戦前はもっとひどかったんでしょ?マルクスの『資本論』が本棚にあるだけで『治安維持法違反』で逮捕されて取調べを受けたんだよね。」
ヨシオ:「『西部戦線異状なし』という映画の一部が、『厭戦的(えんせんてき)デアル』という理由でカットされたり、上映禁止になった外国映画もあったらしいね。そうやって思想統制されたから、多くの国民が洗脳されてしまったんだね。」
ヨシオ:「そういう戦前の教訓があるから、日本国憲法で『思想・良心の自由』の保障が規定されたらしいね。『思想・良心の自由』が規定されている憲法は諸外国の例を見ても珍しいらしいよ。
ツネオ:「洗脳されないようにするためには、ハナマル先生の言うように、『自分の頭でよく考える』ことが必要なんだね。」
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